弱虫だから

題:しあわせにはなれないかもしれないけど、あなたと一緒にいたいんです


「いった…」

またか。

昔のことを夢に見るとほぼ毎回ベッドから落ちて目が覚める。

それにしても最近増えたな。

お陰で私の首がそろそろやばい。

なんだってこうも毎度毎度悩まされなきゃいけないのか。

いい加減解放させてくれ。

「…優」

優に会いたい。

声が聞きたい。

とは言っても、優は企業説明会で飛行機の距離だ。

明後日くらいには帰ってきたと思うし、我慢するしかない。

「どこに就職するんだろ」

と言うか就職したらこの関係がどうなるんだろう。

今より時間が取れない状況になって、仮に遠距離になったら耐えられるんだろうか。

一週間会えないだけでこんなことになってるのにな。

「…なんか飲もう」

分からない未来のことを考えている暇があるなら、寝違えた首をなんとかすべきだろう。

…本当に痛いし。

それに、優がどうするかは分からないけど私の中で答えは出ている。

「はぁ…」

親が何て言うかなとか、優が反対しないかなとか。

マイナスなことはいくらでも思い浮かんだ。

私が幸せになれるかどうかはどうでもいい。

実家に居たときよりマシな生活にさえなっていればまぁいいだろう。

あわよくば、優と居たい。

「また失敗した」

自分しか飲まないとはいえ、寝起きにお茶を煎れるのが下手過ぎる。

いつまで経っても過去に囚われて前に進めない。

これだから幸せになれないとか思ってしまうんだろうな。

それでも、気持ちは少しずつ前に進もうとしている。

「一緒に居たいって思うだけ成長したのかねぇ」

自分のことなのにどこか他人事のように感じる。

優と一緒に居られるなら、多少は希望を狭めてもいいか。

でもそれが優にバレると優が悲しみそうなんだよなぁ。

怒られるのはまぁ良いとして、悲しませることは本意じゃない。

まだ弱虫で独りに耐えられないから。

私には優が必要なんだ。