ぷれぜんと

題:ペンダント


「…あ」

三日前に突然押し付けられた袋。

あげる、と言われても誕生日でもなんでもなくて困惑しかしなかったのは記憶に新しい。

尤も、三日前に貰って未だにその時のままなのだが。

「忘れてた…」

バイトも勉強もピークに差し掛かってた…のは言い訳に過ぎないか。

兎にも角にも、忘れてたその袋を開けてみればいい。

急ぎのものなら今頃なんか言われてるはずだし。

「何これ…ペンダント?」

袋から取り出したそれはペンダントだった。

白から藍色にグラデーションしていく、夜空のような青。光に反射してラメが煌めく。

「パズルピースだぁ…」

そこまで大きい飾りではないが、私が好んで使うものよりはひと回りほど大きい。

青色のパズルピース。

あれ。

形は違うけど似たようなものを最近見た気がする。

どこで見たんだっけ。

すごい最近な気がするんだけど…。

「うーん、こうなったら…」

開けるのが遅かったから申し訳ない気持ちもあったけど、本人に聞こう。

それが一番早い。

思い立ったが吉日、というか忘れそうだから今しかない。

携帯を取り出して見慣れたアイコンを選ぶ。

電話をかけるのはまだ恥ずかしいし、慣れないからメッセージだけど。

送ってすぐに返事が来てびっくりしたけど、無視されないだけいい…のかな。

『今更?』

一言だけだった。

確かにもらってから時間が空いたしなぁ…。

「どーしよ」

画面の向こうではきっと呆れ返って溜息でもついてることだろう。

返事を送りあぐねていると痺れを切らしたのか電話が鳴る。

恐る恐る電話に出ると、忙しかった?と聞かれた。

「最近はちょっとね」

嘘をつく気にもなれないし、黙るわけにもいかなかった。

『それで今更になったと』

呆れてはいるものの、怒ってはいないようだった。

どこか笑いを堪えているようにも聞こえる。

内心ホッとしつつ、ペンダントについて聞くことにした。

「このペンダント、どうしたの」

『どうって?』

少し面食らったらしい声がする。

そんなに変なことを聞いただろうか?

「何かあったわけでもなくない?」

お互いの誕生日でもないし、記念日とかでもない…はず。

『あー…いや…』

後ろめたいことがあるから誤魔化そうとでもしたんだろうか。

もしそうなら問い詰める必要がある。

『ほら、この前ペアのやつ見てたじゃん』

ポツポツと話し始める。

雑貨屋での話だろうか。

見てはいたけどそれとなんの関係があるんだろう。

『それで、恥ずかしいけどそういう感じで』

これは本当に恥ずかしいんだろう。

言うのは恥ずかしいから察してくれとでも言いたげだ。

あぁ、そうだ。

既視感の理由。

「なるほ、ど…?」

そういうことか。

一瞬でも疑ったことはこのまま閉じ込めておくことにしよう。

明日、どんな顔して会えばいいんだ。