不安気

題:ホットココア


ふと、目が覚めた。

横になったまま、窓の方に視線を向けると、外はまだ真っ暗だった。

時計は夜中の2時を指していた。

変に頭が冴えてしまった。

ベッドから降りて部屋の灯りをつける。

暗闇に慣れていたせいで、厭に明るく感じた。

立ち眩みがして、少し壁に体重を預ける。

治っても、なんだか動く気になれなかった。

見慣れたワンルーム。

荷物がそこら辺に投げ捨てられている。

そういえば、今日は酷く疲れて何もする気にならなかったなぁ。

ここ半月ほど、眠れない日が続いている。

目の下に隈が出来て酷い顔になっていた。

自分でもわかるくらいに表情が死んでいる。

毎朝鏡を見る度に無理矢理笑顔を作る。

…苦しさは悪化していくだけだったが。

何の気なしに携帯を見る。

流石に夜中だし、誰からも連絡はない。

安心と落胆が同時に襲ってきた。

別に誰かと話していたい気分じゃない。

けど、見捨てられたかのような不安感が募る。

どこにいても不安は付き纏う。

誰も私を必要としていないような錯覚に陥る。

夜中に1人で起きていると、どうしても気分が落ちていく。

矛盾していて、馬鹿馬鹿しい悩みだとつくづく思う。

こんな性格だからメンヘラなんていう侮蔑的な言葉を投げつけられるのだろう。

あぁ、甘いものが欲しい。

買い置きしてたチョコレートはもう無い。

それでも何かないかとお菓子やら調味料やらを詰め込んだ棚を覗くと、ココアがあった。

お湯でココアを淹れる。

本当は牛乳がいいけど、無かったから仕方ない。

淹れたココアを飲んでも落ち着かなかった。

淹れるのが下手だと言うこともあるのかもしれない。

…そういえば最近、優と話してないな。

会話が恋しいのかもしれない。

お互いに課題やアルバイトに追われて、それ所ではなかった。

もう少ししたら課題が落ち着くから、そうなったら話しかけてみようかな。

温くなったココアを飲みながら優の顔を思い浮かべた。