きみとそだてる。

題:世界樹


ぼくはちいさなちいさな「き」です。

あるひ、おんなのこといっしょにうまれました。

このおんなのこの「き」なんだとおもいました。

けがをしても、おこられても、たくさんのたのしいがそこにはありました。

ぼくはすこしずつおおきくなっていきました。

 

それから何年かたって、ぼくに大きなキズができました。

女の子はわらうことがヘタクソになりました。

ボクはキズなんかへっちゃらだと思いたくて、大きくなっていきました。

だけど、大きくなってもすぐにかれてしまいます。

たくさんの雨がふりました。

かれないように、かれてもすぐに大きくなっていきました。

 

気がつくとまわりの他の木よりも大きくなっていました。

それに気づいた女の子がボクのことを小さくしようとしていました。

いたい、いたいよ!

そう叫ぶと、女の子はとてもかなしそうな顔をして手を止めました。

そして、ボクの枝にみどり色の紙をたくさんつけていきました。

まわりの木はたくさんのみどり色を自分でつけていました。

ボクは負けじと大きくなりました。

 

ある時、女の子が僕にカッターを突き立てました。

痛いのは僕なのに、女の子が泣いていました。

なんで、なんでと叫びながら僕のことをたくさん切りました。

まだ、緑色の紙は取れません。

僕の隣にいる木の緑色は半分枯れていました。

僕は女の子の隣に居る人が信じられませんでした。

僕は女の子を置いて大きくなってしまいました。

 

ある日僕の成長が止まりました。

僕の隣には誰もいません。

女の子の周りには知らない人が沢山居ました。

僕の体に貼り付けられた緑色が少し剥がれました。

そこから、違う緑色が生まれました。

女の子は笑顔を見せるようになりました。

 

そして今、僕の隣には僕より少し大きくて綺麗な緑色を付けた木がいます。

女の子の隣には、一人の男の子がいます。

僕はあんまり信じられないけど、女の子は少しだけ信じてみようとしているみたいでした。

僕の緑色は少しずつ増えています。