嫉妬

題:共依存


「う、ん」

見てはいけないものを見た気分になった。

彼氏の隣で商品を見ている可愛い女の子。

小柄で、私なんかよりずっとお似合いな女の子。

浮気?浮気か?

優に限ってそんなことはしないと信じていたのに、そんなことはなかったというのか。

人違いであってくれ。

どうか。

というか浮気なら彼女のバイト先に来るなよ。

「知心ちゃん?」

私の様子に気付いた店長が私に声をかける。

「大丈夫ですよ」

その後に続きそうな言葉を遮るように答えた。

大丈夫、大丈夫。

自分にそう言い聞かせる。

幸いにもあっちはまだ私に気付いていないみたいだから、そのままバックヤードに下がった。

「ふー…」

こういう時に深呼吸するといいよって教えてくれたのは誰だっけか。

…優じゃん。

胸の奥がチクリと痛む。

なんなんだ、一体。

私が何をしたっていうんだ。

私には優しかいないのに。

 

「いつまで見てんの」

従妹に知り合いの経営する雑貨店に連れてこられて気まずいのなんの。

明らかに狙ってる層が俺じゃない。

しかもこの店って知心のバイト先じゃなかったか…。

見られたらまずい気がする。

浮気じゃないですよー、と心の中で呟く。

事情を察しているであろう店長の視線が痛い。

「だって優にぃの彼女へのプレゼントでしょー?」

「だから自分で選ぶっつーの」

少なくとも他の誰かが選んだもので心から喜びはしないだろうし。

「センスないくせに」

「うるせえ」

否定はできないが、そういう問題じゃない。

それに、前にあげたペンダントだってずっとつけてくれているし、イヤリングもいつもではないがつけているのを見かける。

彼女へのプレゼントくらい自分で選びたいものだ。

「あと彼女さん見てみたいし」

それが本音か。

わざわざ店に来なくても近いうちに紹介すると思うけどな。

…とりあえず後で誤解を解いておかないと。