追い付きたいから

題:君の前では少し弱気な僕になる


「あ、優」

「おー」

「顔死んでるけど大丈夫?」

「…どうでしょ」

疲れが抜けない。

勉強をいくらしても模試の結果が奮わない。

吸収が早い知心が羨ましくて仕方がない。

「コーヒー貰ったけど飲めないからあげる」

嘘つけ。

さっき自販機で買ってただろ。

わざわざ嘘をついたんだから指摘しないほうが良いだろう。

知心なりに気を使ってくれてると思うと申し訳ないことをしたな。

「で、どうしたの?模試やばかった?」

本当によくわかってるじゃねえか。

「そういう知心はどうだったんだよ」

「私?私はまぁ、7割くらい」

俺より上のコースだから難しいはずなのに俺より結果が良いのかよ。

そんなに実力差がないっと思っていたが、それはどうも違ったみたいだ。

悔しいな。

「ゆーう、変なこと考えてる顔になってるよ」

顔の前でパタパタと手を振る知心の顔は少し笑っていた。

その柔らかい表情に安心して、少しだけ気持ちが軽くなる。

「疲れてんのかもね」

俺の返事にきょとんとしたあと、見れば分かると呟いた。

そんなに顔に出てたのだろうか。

隈は無いはずだ。

今朝確認してきたから大丈夫なはず。

「模試の目標どのくらいだったの?」

「8割」

「高めだね」

結局6割ギリギリだったんだけどな。

模試でこれなら本番は多分落ちる。

普段ならそんなに気にしないが、知心はもう合格してる訳だ追いつきたい。

…最も、知心が今回合格したら結局離されるんだが。

「私に出来ることなんかある?」

「こうして隣にいてくれればそれでいいよ」

知心が隣に居てくれるだけで頑張ろうと思える。

側に居ない時間が長いから、少しでも一緒にいられる時間を増やそうと頑張れるようになるんだ。

「じゃあお昼とか一緒に食べようか」

そうしたら少し長く一緒にいれるよ、と言ってくれた。

どうしても知心と二人になると甘えてしまうな。