息をする

題:嘘を吐く金魚たち


人は息をするように嘘を吐く。

例えば、目の前で「お前たちのことを思って」なんて戯言を言う教師とか。

所詮、他人の人生なんてどうでもいいんだ。

自分に火の粉が降りかからなければどうでもいいから、適当なことを言う。

苦しむのは、悲しむのは自分じゃないから、相手にとって耳障りのいい言葉を並べる。

本心はそこになくても、嘘を吐く。

まぁ、私もだけど。

本当は大丈夫じゃないことなんてとっくにわかってる。

フラッシュバックに苦しんで、家族からも期待されず見捨てられて。

それでも、可哀想アピールなんて言われたくないから私は今日も嘘を吐く。

笑顔を貼り付けて、大丈夫だよって。

息をするように言うのだ。

いつか自分すらも騙せるように、何度も何度も嘘を吐く。

相手が私の嘘に気付いていようといまいと関係ない。

私は、私を守るために嘘を吐いているのだ。

誰だって我が身が一番可愛いのだ。

できるだけ、巻き込まれないように、いい子でいよう。

ニコニコして、悪目立ちしないように。

そんなことを考えながら、私は今日も息をする。