本と青と。

題:図書館


「ふぅ…」

小さく息をつく。

家にいると近所の子供の声が結構響いて集中出来ないから、と図書館に来たのはお昼すぎのことだった。

空はもう少しで赤くなる頃だろうか。

流石にそろそろ切り上げてもいいかもしれない。

「4時半…」

閉館は6時だったはずだから、まだ少し時間がある。

折角図書館に来たんだし、普段あまり見ない本でも観てみようか。

神話、小説、絵本、郷土資料…。

天体の本なんかもいいかな。

学校の人からは案外理解されないが、知識は持っていて損は無いと思う。

そりゃあ普段は堅苦しい情報の勉強ばかりだけど、一応は何かを創ることを前提としている学科なんだし。

どんなものを創るかによるんだろうけど、色々な方面での知識は必要になってくると思っている。

インターネットで調べるのが手っ取り早いとは思うけど、こういう本もなかなか楽しい。

『勉強が好きとかどうかしてる』

なんて言われたこともあったなぁ。

私だって計算とかは嫌いなんだけど。

「あ、これいいな」

見つけたのは色の本。

色合いなんて、普段の服装を決める時にも使える大事な要素じゃないか。

「パーソナルカラーかぁ…」

私だったら橙色とか桃色辺りだろうか。

暖色の方が似合う気はしている。

あの人には何色が似合うかな、と色の紹介をパラパラとめくりながら考える。

すると、一つの色が目に止まった。

「呉須色」

コバルトカラーとでも言おうか。

藍青色に近い色で、焼物なんかに使うことが多いらしい。

その色を見て、優の色はこれだと思った。

普段から寒色の服を着てるからかもしれないけど、青色の印象が強い。

明るい青とかではなく、落ち着いた青。

1度考え始めると、頭の中から離れなくなった。

授業の関係上今は会うことが少ないせいかもしれない。

たまには遊びに行こうかな。

 

-翌日に優の所に行ったら呉須色に近い色のTシャツを着ていて思わず笑ってしまった。