題:星砂
「あ、星砂」
なんとなく立ち寄った雑貨屋で星砂を見つけた。
懐かしいなぁ。
小学校くらいの時に流行ってたと思う。
「…って、何」
流行ってたと言っても、可愛いものが好きな女子の間の話だったし優が知らないのも無理はない。
「可愛いでしょ」
「まぁ…好きそうだね」
興味が湧いたのか、まじまじと見ている。
名前と見た目は綺麗だし私は今も好きだ。
「因みにこれ、何なの?」
「何、とは」
「砂って感じしないから」
「あぁ」
そういうことか。
一つ一つ見ると砂じゃない感じに見えるってことか。
「調べたら出てくるよ」
「その口ぶりからすると知ってんだ」
星砂が入った瓶を明かりにかざしながら答える。
そんなにキラキラしないからか、すぐに瓶を戻した。
「まぁ…うん」
なんだろう…夢を壊してしまいそうな、そんな気分。
「じゃあ教えてくれてもいいんじゃない」
あぁ、もう。
知ったもんか。
「虫の殻」
大分端折った気もするけど、嘘はついてない…はずだ。
優は目を見開いてこちらを見ている。
「虫、って…蝉の抜け殻みたいな感じ?」
「正確には原生生物らしいけど」
星砂、なんて可愛い名前からは想像も出来ないような現実。
まぁ、どんなものでもそういう結果はついてまわる。
結局は受け入れられるかどうかなのだ。
「皮…?」
砂ではないだろうと言いたげな表情だった。
「微化石?だったと思う」
曖昧な記憶でごめん、と心の中で謝りつつ答える。
何せ調べたもの小学か中学の頃なんだ。
「なんか…なんで砂なんだろうね…」
言葉に詰まってる感じが見て取れる。
そのへんまでは流石に覚えてなかった。
「夢を見たかったんじゃない…?」
ロマンチストが名付けたのかもしれない。
真実はとうに葬り去られているだろう。
「何それ」
呆れ返っていた。
リアリストには分からないとでも言いたいのか。
「綺麗なものは綺麗なままであって欲しいし」
どんなに綺麗なものでも現実はその程度のものだから。
夢を見ていたい。