熱と白

題:脱水


「あ゛ー…」

「女子が出す声かそれは…」

目の前でバテている彼女は、毎年のように脱水を起こすらしい。

気を付けてもなるらしいのでもう少し対策を考えるべきだと思う。

「ぎもぢわる゛い…」

さっきからずっとこの調子なのだが、一向に水分を取ってくれない。

一体何がそこまで水を飲まなくさせているんだ。

「スポドリ一口でいいから飲め」

その為に買ったんだから飲んでくれ。

そして帰って寝ろ。

「う゛ー…」

「あーとかうーとか言ってないで飲め」

「あい…」

やっとか。

長かった…。

「ゆっくり飲みなよ」

「ん」

全く、世話が焼ける…。

それにしても最近暑いな。

俺も暑さで勉強に集中できないことはままある訳で。

冷房を28度でも暑いのにパソコンの排熱で更に暑い。

「しんど…帰る…」

「送るか?」

「ん゛ー…」

水分を取って動けるようになったのかやっと帰る用意をしてくれた。

家まで送るが、多少回復するまでは様子を見てた方がいいだろう。

あとちゃんと冷房付けてないと寝てる間に脱水悪化させそうで怖い。

「帰ろ…」

「荷物持つ?」

「それはいい」

よく見たら汗で服が若干透けてる。

インナーを着ているようなので、まあそこはいいが…。

「知心さ、しばらく白い服着るのやめない?」

「え、なんで」

めちゃくちゃ嫌そうな顔を返された。

そりゃそうだよな、好きな服着たいよな…。

「ちょーっと経験の少ない男どもには刺激が強いから」

俺の言葉で理由を察したのか、一瞬言葉に詰まった。

少し考え込んでから口を開く。

「インナー着てるし別に良くない?」

「良くないんですよ」

いや本当に。

せめて汗をかかなくなる季節まで自重して欲しい。

それかもう少し対策して欲しい。

「んー…まぁ気を付けてみる」

早くこの季節終わらねえかな。